【解説】
今回は進路に迷う学生のケースです。きっかけは課題レポートで自分の将来を描けなかったことで、大学院進学は「父親の勧め」で主体的に決めたものではないため、OBの講和で「学歴は関係ない」との話を聞き進学に迷いを生じています。調べると自分が何に向いているのか、どうしたらよいかもわからなくなったようです。余談ですが、過去の出題傾向として直前の試験で合格率が下がった場合の論述は今回のように大学生のケースが多いようですね。
設問1
課題レポートで将来像を書けず、OB講和では学歴は仕事では関係ないと聞き、父の進める大学院進学に価値を感じるが疑問を抱くようになった。就職も気になるが何に向いているかわからず進路に迷い来談。(94字)
設問2
将来を具体的に思い描けず戸惑う相談者の気持ちを受容し、書けなかった自分をどのように思い、それが相談者にどのような影響を与えているか、安定した暮らしとは何かを確認するためと思われる。(90字)
設問3①
①進路を考えるうえでの自分の興味・関心・適性などの整理がされていない②そのため周囲の考えや話しに振り回され進路を主体的に考えられていない③情報収集も十分ではない。以上が問題と思われる。(92字)
設問3②
「経済的に安定した暮らしをしたいくらいしか思い描けなかった」「将来は何となく父のような仕事につけたらいいなと」「自分に何が向いているのか~何がやりたいのかとかわからない」「他の人はどうやって決めているんだろう」「なんとなくこのままではいけないと思うのだが、どうしたらいいのだろう…」が根拠。(145字)
設問4
研究室の選択に迷い、将来の進路に漠然とした不安を感じる相談者の気持ちに寄り添い面談を進める。語られた「このまま大学院に行くだけではダメ」の一方で「大学院に行くことには価値があると思う」について内省を促し考え方の整理を支援する。日本版OーNETを使用し、興味関心、強み、仕事観などの整理を行うとともに、自分に合った職業及びそれに必要な学びの理解を促す。インターシップの目的、効果についても伝え情報収集の大切さを考えてもらうとともに、情報収集方法について伝える。大学院出の先輩にも経験を聞くことも提案。以上により相談者が研究室の件も含めて進路について納得した選択ができるよう支援する。(290字)
※仕事観‥仕事の意義や価値付け、目的などを包括した仕事に対する考え方です。 どんな企業でどんな働き方をするのか、どの業種・職種を選ぶのかといった、就職におけるベースになる考え方。