CLの問題点の見立て①
CLの問題点の根拠となる表現をとらえる
実技においてはCLの問題点の見立てが重要になります問題点の代表例として「思い込み・認知の歪み」「自己理解不足」「仕事理解不足」「コミュニケーション不足」「情報不足」「キャリアプランなどの欠如」などあげられます。論述のなかにはこれら問題点の根拠となる記述がありそれを見分ける練習が必要となります。
「○○と聞いて」(伝聞)「○○かな」(推測・発言が不明瞭)「○○はしていません」(未実施)「○○は話していません」(対話不足)などがあり、こうした表現方法などからCLの問題点の見立てを行うことになります。
過去の論述問題を例にすると‥
相談者‥女性、21 歳、四年制大学(法学部)3 年生
家族構成:父(公務員)、母(公務員)、弟(高校 2 年生)と同居
相談内容‥Zさんは公務員を目指しているが、一次試験に受かるかどうか不安に感じている。最近になって民間の仕事の方が自分に向いているかもと思い始め、公務員と民間企業を併願するか、どちらかに絞って就職活動をしたほうがいいのか迷って来談した。
相談者の発言の抜粋‥
「はい。でも民間の中でもブライダル業界って人気が高いって聞いているし(伝聞)、それに私は民間企業の就活の準備は全然していないし(未実施)、出遅れているんです(思い込み)。だから、民間に切り替えても就職できるか不安です(効力感低下)それに公務員のことも捨てきれないというか…(迷い)。」
この一文からは、①「伝文」によってよく確かめもせずに「出遅れている」という「思い込み」が発生し「不安」を感じている。②「準備はしていない」から「情報不足と仕事理解不足」③「公務員のことも捨てきれないというか‥」から「自分としてどうすべきかわからなくなっており自己理解不足」の可能性が考えられます。
また、「将来的に安定しているのというのと両親に進められたのが大きいですかね」と公務員志望も親の勧めであり、「両親を見ていて、お給料もいいし、仕事も楽しそうで、結婚してからもずっと働きたいし、公務員がいいかなと思ったんです」と公務員の印象も両親の発言や姿からの推測と思われるため、CLの志望動機の曖昧さ、主体性の欠如及び公務員の仕事理解不足が感じられます。
JCDAも同様で逐語から問題点の根拠を抽出することになります。両団体の違いは解答欄がキャリ協は問題点の内容、根拠を別々に記載しますが、JCDAでは一括して記載する点では相違しています。
面接実技においてもCLの問題把握はCCに求められるものであり、試験のCL役は問題点の根拠となる「サイン」を言語や態度などの非言語を用いて送ってきます。ロープレではCLの話に集中し聞き逃さないようにすることが必要です。論述を的確に読み解く練習を重ねることが結果として面接実技の対応力を高めることになります。
一度、論述の過去の問題を時間をかけて丁寧に読み解き、上記のように内容を分析しながら問題点を書いてみると学びを深めることになると思われます。
レッスンでは、論述の答練を通じて問題点の把握の練習を重ねていきます。また、面接実技の練習においては、CL役は資格保有者である講師が担当し、CLの主訴や問題点を明確に設定し、サインの送り方も工夫し、学習効果が得られるようロープレを実施していきます。