面接どう進めればよいか?
今回は面接実技を進めるうえでのポイントを整理してみたいと思います。
CLは悩みを抱え来談しますが、CLの自己概念と経験に不一致(ズレ)が発生し、精神的に不安定で傷つきやすい状態であると考えられます。
以下のケースでは、CLは役職定年を機にこれまでの経験を活かし若手の成長にかかわりたいということで現職につきました、「いろいろあってだんだん自信もなくなり、今の仕事が向かない」と悩み来談されました。以前は積極的に部下と話していましたが、現在は話す機会が減り、そこに「自己理想と経験の不一致」が発生し、その点を上司に指摘され悩みが深まり相談に至ったと考えられます。
面接の冒頭ではCLはCCに対して警戒心を持っていると思いますので、まずはCLとの信頼関係の構築が必要となります。カウンセリングの技法である「かかわり行動」や「相槌・うなづき」「伝え返し」「いいかえ」「質問」「要約」などを用いて面接を進めます。また、心理学では人と人がコミュニケーションの際の印象は、言語情報7%、聴覚情報38%、視角情報55%の割合で影響すると言われており、表情、声のトーンなど非言語がいかに重要かが伺えますので、この点も意識されるとよいと思います。単調な相槌・うなづき・伝え返しは逆効果のこともありうるので、抑揚をつけることも大切だと思います。
CLが「丁寧に聞いてもらっている」「話したいことが話せている」と感じられるよう面接を進めることが肝要ですし、そうしたやりとりを練習のなかで身に付けていくことが必要です。私もCL役として多くの受験生とロープレをさせていただいていますが、話しやすい方とそうではない方がいますし、おのずと受けごたえが変わることはよくあります。前半はとにかく関係構築を意識して面接を進めてください。
ケースのやりとりを以下整理すると‥

いろいろあってだんだん自信もなくなり今の仕事が向かない‥今後どうしたら良いのか‥‥

自信がなくなった、そう感じられるようになったきっかけがありましたか?【経験の再現の促し】

最近、上司に「若手との会話が減り、〇〇さんらしくない」と指摘され、内心は 「寂しさ」を感じました【内的な感情の出現】

寂しさを感じた時の自分がどのように見えますか?【経験の再現による感情の深掘り】

話かけないのは若手の自律というか‥煙たがれる、面倒くさがられると思い躊躇し「卑屈な自分」を思いだしました【思い込みと新たなる感情表現】

躊躇している自分が卑屈に見えるのですね?【感情への問いかけ感情の言語化の促し】

役職・肩書がないと自分の考えを言えない‥‥【内省の開始】

自分らしさを出すには肩書が必要ということですね。
【考え方の確認と気づきの促し】

自分らしさと肩書き‥何か違いますよね【気づき】
CCはCLの「今の仕事が向いていなのでは」という悩みに対してそのように思い始めた経験について再現を促すやりとりをしています。特に「どのように見えるか」という問いかけによりCLは上司とのやりとりを思い浮かべ、その時の内面に起きた感情である「寂しい」「卑屈な自分を思い出し寂しい」を語る展開となっています。
さらに、「積極的に声をかけることを躊躇している卑屈な自分を思い出す」というCLの発言をに対して、その感情の背景にあるCLの考え方について内省を促し、躊躇の理由は「肩書のないこと」によるものであり、最後にはその考えの誤りではないかと気付く展開となっています。
その際、CCは「卑屈に見えるのですね」「肩書が必要ということですね」とCLの言い回しを使いながら確認するやりとりをしており、決してCC自身の考えや価値観を述べるような言い回しになっていないこともポイントであると思われます。
当レッスンではロープレの練習においてもその場のフィードバックに加えて、録音をもとに当方指定の「事後的なセルフチェック」と「当方から追加コメント」により面接実技のサポートを実施していきます。こうした手順を踏むことが、面接への理解を深め対応力を高めることになります。